事業承継税制とは?要件や特徴、注意点など
事業承継税制は、中小企業の事業承継を円滑に進めるための税制であり、贈与税や相続税の負担を大きく減らすことが出来ます。
しかし、この税制を利用するための要件は多岐にわたります。
そこで本記事では、事業承継税制の具体的な要件や特徴、利用時の注意点などについて解説いたします。
事業承継税制とは?制度の概要について
事業承継税制は、中小企業の経営者が後継者に事業を承継させる際の相続税や贈与税の負担を軽減する税制であり、二回の事業承継にわたって税制上の優遇措置が行われます。
具体的には、第一回の事業承継で相続税や贈与税の納税が猶予され、第二回の事業承継では、相続税や贈与税の納税が免除されるという制度になっています。
この税制の最大の特徴は課税タイミングを先送りできる点にあります。
例えば、次代へと事業を引き継ぎたいが、引き継ぎに伴う税負担や資金繰りが厳しく、なかなか事業承継を行えずにいるという方にはオススメの制度です。
また、2代にわたって事業承継税制を利用することで納税そのものが免除される点も非常に魅力的です。
こうした事業承継にかかわる大きな負担となる税金の面における考慮事項を解決してくれるのが最大の特徴です。
事業承継税制が利用できるのはどんな事業者?対象者や要件について
事業承継税制の利用には、会社、経営者、後継者の3つの要件を満たす必要があります。
会社要件
まず、事業承継税制を利用することができるのは中小企業です。
中小企業の基準は資本金や従業員数によって定められており、具体的な数値は業種ごとに変化します。
具体例として、製造業の場合は資本金3億円以下、従業員300人以下の企業が該当します。
業種ごとの具体的な数値については中小企業庁のHPより確認できるため、申請前に自社が申請可能であるかを確認しましょう。
経営者要件
現在の経営者に対しても要件が存在し、誰でも事業承継税制を利用できるわけではありません。
具体的には下記の要件を満たしている必要があります。
- 代表取締役として職務を務めた経験がある
- 事業承継直前に筆頭株主である
- 事業承継後に代表取締役でない
後継者の要件
また、後継者に対しても要件が存在し、下記の要件を満たしている必要があります。
- 代表取締役となる
- 筆頭株主となる
- 贈与による事業承継の場合、3年間役員である
上記の3つの条件を満たせば、事業承継税制を利用することが可能となります。
しかし、これらを満たすこと以外にも、事業承継後に一定の経営状態を維持することが求められます。
具体的には下記の通りです。
経営状態要件
事業承継後の5年間において以下の要件を維持することが事業承継税制利用のために求められます。
- 後継者が代表取締役として在任する
- 後継者が株式を保有する
- 雇用を8割以上維持する
事業承継税制を利用する際の注意点と利用前に確認すべきこと
このようにメリットの多い事業承継税制ですが、注意点も存在します。
それは事業承継税制の利用時には、M&Aが制約される点です。
具体的には、第一回の事業承継後に、第二回の事業承継前にM&Aやその他の事業売却を行うと、税制の特典が受けられなくなります。
つまり、後継者が見つからないから、M&Aで事業承継を行うというような選択が行えなくなる点には十分注意が必要です。
事業承継に関するお悩みは石橋税務会計事務所にご相談ください
石橋税務会計事務所では、事業承継に詳しい税理士が在籍しております。
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経歴
- 一橋大学社会学部卒業
- 1998年 公認会計士第二次試験合格
- 1998年 旧中央監査法人(現新日本監査法人)入所
- 2004年 公認会計士登録
- 2006年 石橋税務会計事務所入所
- 2018年 石橋税務会計事務所所長に就任
所属団体・著作等
- 日本公認会計士協会
- 東京税理士会
事務所概要Office Overview
名称 | 石橋税務会計事務所 |
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資格者 | 石橋 治朗(いしばし はるお) |
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