親族への事業承継
■「親族への事業承継」(親族内承継)とは
「親族への事業承継」(親族内承継)とは、現在の経営者の子どもや娘婿といった親族に事業をバトンタッチすることをいいます。
事業承継の方法にはいくつかありますが、日本は伝統的に親族内承継が多く、2020年においては全体の34.2%を占めています(出典:中小企業庁『2021年版中小企業白書』)。しかし、昭和においては中小企業の多くが親族内承継を行っていたことを考えると、近年その数は大幅に減少しています。背景としては、少子化も然ることながら、多様な価値観が認められつつある現代において、経営者の子どもが「継ぎたくない」と考えるケースが増加している点なども挙げられます。
■親族内承継のメリット・デメリット
親族内承継のメリットとしては、現在の経営者の近しいものが引き継ぐことになるため、社内外の関係者(従業員、取引先、金融機関等)から後継者として理解を得られやすい点が挙げられます。先代経営者からの帝王学を学んでいるなら、それを活かした経営が可能です。また、親族内承継の場合は基本的に相続や贈与で承継するため、特例事業承継税制を利用すれば、一定の要件を満たす限り、相続税や贈与税の税負担なしに承継可能です。代表取締役社長という地位とともに自社株を引き継がせることができるため、所有と経営が分離しにくいといえるでしょう。
他方で、デメリットとしては、親族内に後継者となる意思・資質を有する人物がいない場合がある、後継者一人に経営を集中させることで、親族間の対立を招きやすいなどが挙げられます。親族内承継を検討する際は、これらの問題が発生しないように十分な対策を講じることが重要です。例えば、後継者はいても資質を一部欠く場合であれば、早期に後継者としての教育を施し、ベテランの従業員に後見指導育成を依頼するなどの方策が考えられます。また親族間の対立を防ぐため、相続において遺言等の方法を用いることによって、ある程度のリスクヘッジができます。
■親族内承継の方法
親族内承継の方法には、①相続による方法、②生前贈与による方法、③その他の方法が考えられます。
①相続による方法とは、現経営者が死亡したときに、「相続」として保有していた自社株を後継者へ引き継がせる方法です。売買等で自社株を取得する場合よりも、取得のために必要となる資金が少なく済むなどのメリットがある一方で、相続税が発生する可能性がある点や、遺言書の作成等の対策が必要となる点などのデメリットがあります。
②生前贈与による方法とは、現経営者の生前に、後継者に自社株等を贈与することで、後継者に事業を引き継がせる方法です。後継者が早期に株式を保有することができ、経営に対して発言権を有することができます。もっとも、贈与税が生じてしまう場合がある点や、生前贈与の場合も遺留分の制約を受け、親族間トラブルの原因となりうる点といったリスクもあります。
③その他の方法として、例えば、売買による方法が挙げられます。これは、現経営者が保有する株式を後継者が買うということですが、株式や会社の事業用財産を購入するための資金を用意しなければならないなど、ハードルが高い方法といえます。
石橋税務会計事務所は、台東区、墨田区、世田谷区、文京区を中心に、東京、神奈川、千葉、埼玉の事業承継に関するご相談を承ります。
当事務所は、初回相談無料で、事前予約で休日・時間外も対応可能です。
事業承継でお悩みの方は、当事務所までご相談ください。
基礎知識Basic knowledge
-
資金調達に必要となる...
新たにビジネスを始める際などの資金調達では、事業計画書が必要になります。事業計画書とは、事業の内容や運営方法、 […]
-
事業承継税制とは?要...
事業承継税制は、中小企業の事業承継を円滑に進めるための税制であり、贈与税や相続税の負担を大きく減らすことが出来 […]
-
顧問税理士とは
顧問税理士とは、法人または個人事業主の方が、決算申告や確定申告などの一回の依頼を税理士に行うようなパターンでは […]
-
経理指導・経理代行
顧問税理士をつけることによって、経理指導や経理代行を行うことも可能になります。顧問税理士が行える経理指導、経理 […]
-
【税理士が解説】個人...
税務署は、納税者が納税をしっかり行っているか確認するために税務調査を行います。この税務調査は法人だけではなく、 […]
-
不動産の活用は相続税...
相続税対策として不動産を活用すると相続税の節税になる、ということはよく聞く話かもしれません。しかし、どのように […]
よく検索されるキーワードKeyword
資格者紹介Staff
相続、財務顧問、事業承継のことならお任せください。
東京近郊の中小企業を中心に、個人・法人問わずサポートを行っています。
経歴
- 一橋大学社会学部卒業
- 1998年 公認会計士第二次試験合格
- 1998年 旧中央監査法人(現新日本監査法人)入所
- 2004年 公認会計士登録
- 2006年 石橋税務会計事務所入所
- 2018年 石橋税務会計事務所所長に就任
所属団体・著作等
- 日本公認会計士協会
- 東京税理士会
事務所概要Office Overview
名称 | 石橋税務会計事務所 |
---|---|
資格者 | 石橋 治朗(いしばし はるお) |
所在地 | 〒110-0005 東京都台東区上野7-3-9 アルベルゴ上野704 |
TEL/FAX | TEL:03-3845-1484/FAX:03-3842-0865 |
対応時間 | 平日9:00~17:15(事前予約で時間外でも対応可能です) |
定休日 | 土曜・日曜・祝日(事前予約で休日でも対応可能です) |
アクセス | 上野駅より徒歩1分 |